肌に痛いほど感じる太陽の日差し、眼前に広がるひまわり畑、大地を高らかに踏みつけるフラメンコ……スペインといえば情熱という言葉が浮かんできます。しかし、これは典型的なイメージで、実際、方言とは言いがたいほどまったく異なる言語を使う地域もあります。ですから、必ずしも明るく情熱的な人ばかりではなく、口数が少ないスペイン人もいれば、騒々しいことを嫌うスペイン人もたくさんいます。

 

とはいえ、一般にスペイン人は、感じがよく、楽しくて、話題が豊富な男性を”simpático”、女性を“simpatica”と呼び、人付き合いでは大切なポイントとなっています。友だちに対してもこのキーワードは重要で、”simpático”あるいは“simpatica”な人にはたくさん友だちがいて、その人のまわりにはたくさんの人が集まってきます。

 

ところで、スペイン語で男性の友だちのことを”amigo”、女性の友だちのことを“amiga”といいますが、この言葉は日本語の「友だち」と少し違います。たとえば、行きつけのバルで何度か顔を合わせただけの人に対しても”amigo”や“amiga”と呼ぶのです。つまり、スペインでは”amigo”や“amiga”がすぐにできるのです。

 

この「顔見知り」程度の友だち関係を第1段階とすれば、スペイン人の友だち観には第3段階があると思います。

 

第2段階は、どんなことをしていて、どういうことに興味があり、家族構成を知っていて、いっしょに出かけたり、頻繁に会ったりする程度の関係です。スペインでは向かい合って話しながら相手のことを理解することがとても重要なので、第1段階から第2段階へと入るとき、毎晩出かけたり、頻繁に連絡を取ったり、とにかく関係が密になっていきます。

 

この段階までは、気の合う者同士であれば、比較的、かんたんにたどり着きます。とにかくスペイン人は人なつこく、だれかといっしょにいることを好む傾向があるため、とくに親しくしている友だちがいない者同士が知り合うと、頻繁に会うことになります。こうした関係で、兄弟を紹介することもよくあります。日本では、兄弟といっしょに友だちとつるむことはそう多くはないと思いますが、スペインではわりとよくあることです。

 

 

20170307friendship.jpg

 

さらに関係が深まっていくと、第3段階へと進んでいきますが、ここに至にはけっこう時間がかかります。日本でも「親友」と呼べる友だちを作るのは難しいことですが、スペインにおいてこの段階のキーポイントは、家族の食事に誘われるかどうかです。相手との距離が縮まるだけではなく、家族にも正式に紹介した上で、はじめて「親友」となれるのです。

 

このスペイン人の友だち観について、両腕を伸ばして手が届く距離(第1段階)、肘のあたりでハグできる距離(第2段階)、腕の中まで入り込めるほど近い距離(第3段階)という人もいます。友だち付き合いをする上でぜひ参考にしてください。

 

 

ライター ミミズ

スペイン8年→フランス5年在住。幼い娘に日本語を教えつつ、執筆業に従事。趣味は書道、墨画、読書、絵本作り、ガーデニング、DIYなど。

 

 

コメントを残す

コメントを投稿するには、以下のいずれかでログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中