今回は、フランス人女性のが持つジレンマについて、ご紹介しましょう。私のまわりを見ると、フランスでは小さな子供がいる女性はほとんどが働いているように思います。そこでINSEE（フランス国立統計経済研究所）の統計を調べてみると、確かにその通り。2014年には25歳から49歳までのフランス人女性の83．8％が何らかの仕事に就いている、または就活中であるという統計がでていました。
もちろんその中には、経済的な事情で仕事をせざるを得ない女性も多くいますが、一方では「経済的に自立をしていたい」、「自分らしさ保つため」、「仕事が好きだから」、と自らの選択で仕事を続ける女性もいます。
そしてその間には、「周りからのプレッシャーのために仕事をしている」女性も。
結婚や出産で約60％の女性が専業主婦を選択する日本とは大きく違い、子供を持ってからも働き続けるのが当たり前のフランスでは、「専業主婦になる」という選択をすることは一大事!
専業主婦を選択したある女性はこう言います。
「自分が40歳になった朝、“ああ、子供の成長を見られなかった！”と後悔をしたくないと思って専業主婦になったのだけれど、周りの目は厳しかった。“ほら、ちゃんと勉強しなかったらあの人みたいになっちゃうわよ”って、学校の前で私を指さす母親もいたりして。」
彼女たちは「仕事をしていないと、仕事をしている女性よりも劣っているように思われる気がする、専業主婦だとは周りに言いづらい。」と言います。仕事をしていないことで、フランスの女性達は自分に自信が持てなくなってしまうのです。それは自ら専業主婦になることを選択した場合でさえも。
フランスに学ぶワーキングマザー幸せな働き方は?
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とはいえ、実際のところはワーキングマザーが幸せかというと、そうとも言えないようです。
「仕事を完璧にこなし、家では笑顔を絶やさない」という、世間一般の理想のワーキングマザー像を現実にいくフランス人女性は少数派。常に時間に追われ、子供達には「ママっていつも疲れた、疲れたばかり言っているよね。」と言われ、仕事と家庭、子育てを完璧に行えないことで、罪の意識を感じたり自己嫌悪におちいったりしています。
だからこそ、週４日勤務などの時間短縮をして仕事を続ける女性が多いのでしょう。
まずは、日本と比較した労働時間から見てみましょう。
■世界で最も平均労働時間が短い国トップ10
1位：オランダ（1年間で平均1,381時間）
2位：ドイツ（1年間で平均1,397時間）
3位：ノルウェイ（1年間で平均1,420時間）
4位：フランス（1年間で平均1,479時間）
*参照:経済協力開発機構（OECD）2012年時点加盟35か国のフルタイム労働の平均労働時間ランキング
フランスは短い国ランキング4位です！フランスはフルタイムでも週35時間、そして基本的に残業もありません。ワークライフバランス、という観点では非常に優れている社会ができているのかもしれません。ちなみに日本は長時間労働から15位!(平均1,746時間)。日本はそもそもフルタイムの時間枠そのものが長いですね。
統計によると、フランスで時短労働をしている人の83％は女性。それもそのはず。フランスの小学校は月曜日から金曜日までで、水曜日は午前中で終わり。しかも7週間学校に行くと次の2週間はお休みなのです。それに加え、7、8月の2か月間は長い夏のバカンス…。こんなにしょっちゅう子供達のお休みがあっては、母親たちはたまったものではありません。
そしてもうひとつ、フランスならではの良いシステムが！
フランス社会における｢パートタイム｣は、フルタイム同様の正規雇用となり、賃金の差や、仕事内容等がないことです。
専業主婦になるか、ワーキングマザーでいくか。どこの国でも女性の人生にジレンマはつきものです。そうした時に、続けるか辞めるかの二者択一ではなく、正規雇用のパートタイムという選択ができるフランスは、日本とは違う幸せの形なのかもしれません。
いかがでしたか?
ライター Zoé（ゾエ）
パリ、東京、ブエノスアイレスで暮らし、現在はバンコク在住。
さまざまな国の女性とおしゃべりをし、その国独特の女性の考え方や価値観を知るのが大好き。
国際派和美人 