世界各国の女性の学び、キャリアや働き方、結婚・出産、子育て、女性を取り巻く環境やライフスタイルについてご紹介します。
 

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香港のお受験は日本に劣らず厳しいものがあります。子どもたちは、小さなころから習い 事に追われますが、将来の就職や受験に有利になるようにという親の熱意からです。香港人女性の大学進学率も低くはありません。香港はアジアをはじめ欧米諸 国からの移民や、移民と香港人との混血も多く、中国語で教える学校へ通うか、英語で教える学校へ通うかという時点でも、将来の進路を大きく分ける分岐点になり得ます。
 

香港はもともと英国の植民地でしたので、香港独自の教育制度と英国の制度に沿った教育制度が確立されています。インターナショナルスクールや日本人学校を含む外国人学校すべてが香港人に開かれており、一般的に英語のスキルは就職の可能性を一気に押し広げます。
 

そして香港も、男女均等だといわれます。
 

実力主義で、能力があれば女性でも大出世できます。ですから、キャリアアップのために仕事が終わると専門学校や夜間学校でさらに勉強を続ける人も多くいます。自己投資にお金と時間を費やすのです。
 

日本のように香港でもお稽古ビジネスが盛んです。
 

最近人気なのはボクササイズやヨガといったエクササイズ系。とくにダンスは男女ともに人気の習い事の一つで、街の至る所にダンススタジオの看板を見かけま す。また、料理学校や語学学校に通う女性も多いようです。語学は、一昔前は英語の次に人気なのは日本語でしたが、今はドラマの影響で韓国語が日本語よりも 人気のようです。
 

他にもバレエ、ヨガ、ボクササイズ、フラワーアレンジメントの他、各種資格、日本の茶道や習字、空手の教室もあります。スポーツのサークル等もたくさんあ り、土日に集まって野球、サッカー、バレーボールなど、選択肢はとても広く、内容も本格的です。また、そういうレッスンやサークルは香港人だけでなく、私 たち日本人のような外国人も一緒に参加しているので、交友関係の幅も広がりやすい環境があります。
 
 
 

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香港は男女ともに、「終身雇用」「年功序列」という観念はまったくありません。実力がある人が昇進し、より良いお給料と待遇を手にするというのが常識です。
 

さらに、香港は契約書社会。
 

雇用の際には雇用主と雇用される側が必ず契約書を交わします。これは、アジア一の国際都市であり、移民都市である香港であるからこそ、多民族多言語都市と してとても合理的だと言えるでしょう。雇用契約が成立すれば、その契約書に書かれている仕事をこなし、希望する給料と待遇を受ける、というのが香港式労働 スタイルです。ですから、契約書と全く異なる部署へ異動させられたり、契約書に書かれていない仕事をさせられることは、双方の同意がない限り、起こりません。
 

また、会社側も新人教育にお金も時間もかけませんので、キャリアアップしたい人は自主的に、仕事帰りに学校へ通うなりしてスキルアップをし、他社からより よい条件を提示されれば、躊躇なくそちらへ行ってしまうことも日常茶飯事です。そうやって、実力がある人は、転職を重ねながらどんどん昇進していくのです。
 

香港では産休制度が香港政府によって定められており、その期間、雇用主が該当者を解雇することはできません。こういった社会背景も女性の社会進出に貢献してます。結婚、出産を理由に退職する香港人女性はあまり多くありません。また、香港では基本的に結婚しても共働きですが、中級以上の家庭には、外国人家事 労働者(家政婦さん)がいるので、子どもの病気や家事が原因で仕事を休むということがありません。こういった背景もあることから、香港の女性が社会的に高 い地位につくことも珍しくありません。
 
 
 

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香港人女性は若くても結婚を意識した交際をすることが多いようです。
 

その反面、初婚の高齢化もすすみ、独身者が増加、香港人独身女性の平均年齢は40歳代ともいわれます。仕事で中国本土に長く滞在する香港人男性も多く、香港では字適齢期の女性が男性を上回っているというデータもあります。そういった背景の中、香港人女性の社会的地位や職位は男性を上回ることも多々あり、女性の方からのプロポーズも少なくありません。
 

香港の出生率は世界の中でもかなり低く、近年では1人を下回ったこともあります。子どもがいない家庭や、いても一人っ子の家庭が多いのです。香港では出産 にかかる費用は政府が負担してくれますし、公立の病院で出産すれば、出産前の健診から出産時の費用はほぼ無料です。また、産休は産前・産後合わせて10週 間で、その間は給与の80%が支払われます。それにもかかわらず、出生率が低いのは、そもそも独身女性が多いことと、教育にかかる費用が高いということが 原因になっているようです。
 

それとは別に、最近では出産するために中国本土から香港へ入ってくる中国人女性が増えているのが問題になっています。たとえ、香港に違法な手段で入国して も、香港で生まれた子供は香港人として認められるので、少しでも有利な将来を子供に与えたがる中国人女性の切ない行為ですが、これが香港の病院をパンクさ せてしまうというケースが実際に起こっています。
 
 
 

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香港人の家庭では子供が生まれると、一般家事担当の家政婦とは別にベビーシッターを雇う家もあります。
 

ひとつの家庭にその間二人の家政婦(外国人家事労働者)がいることになります。そのベビーシッターは夜間の新生児のケアもしてくれるので、母親は夜間授乳 もしなくてよくなります。そうして、早々と職場復帰する女性もいます。香港の義務教育は公立の学校であれば無料ですが、習い事を掛け持ちする子どもも少な くありません。
 

また、英語で授業を行う、インターナショナルスクールは高い学費にもかかわらずとても人気で、両親のうちいずれかが英語を母国語とする子どもの場合でも、 入学が難しくなっています。中には、子どもが生まれて出生届を出してすぐインターナショナルスクールの願書を準備する両親もいるのだとか。
 

香港には育児休暇の制度はありませんが、ベビーシッターや家政婦を雇えない家庭では、祖父母が子どもの面倒を見て、両親二人は働きに出るというのが一般的です。香港の子育て事情は、外国人家事労働者とおじいちゃんおばあちゃんに支えられています。
 
 
 

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香港人女性も、仕事以外の時間はみんな好きなことをして過ごしています。習い事、女友達とのお出かけや彼とのデート。休日も彼と過ごすだけではなく、家族 で飲茶や食事をしたり、ちょっと郊外へ出かけたりもします。中国本土が近いので、マッサージを受けに行ったり、買い物しに行くこともありますが、ここ最近 は中国本土の物価も高騰しているので、わざわざ香港から行くありがたみがなくなりつつあります。
 

また、香港は山もビーチも多いのでハイキングや海水浴(10月から4月くらいは泳げませんが、各地域に有料の室内温水プールがあるので水泳は一年中楽しめ ます)、エクササイズに行く人たちもいて、みんなそれぞれです。 日本でよく耳にする女子会については、女友達同士で集まることもあるでしょうけど、女性だけ、と特別に限っての集まりはそれほど多くないように思います。 日本に対して、とても憧れをもっている香港ですから、日本の文化はすぐに香港に輸入されがちですが、まだ、「女子会」という概念は輸入されていないようです。
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ちなみに、長期休暇には旅行に行く香港人も多く、日本は人気の旅行先の一つです。
 

全体を通してみると、学校を卒業し仕事に就いた後は、自分をスキルアップさせながら、より良い条件の職が見つかれば転職し、キャリアを積みつつ、結婚・出産も成就させるというのが、多くの香港人女性のライフプランです。
 

香港はアジア一の国際都市であり、移民都市。
 

そこに住む女性たちのスタイルも様々ですが、香港人はその多民族多言語の地域であるがために、かなり柔軟な考えができる人たちであり、都市全体が合理的か つ機能的に構成されています。また、男女平等の意識がかなり浸透し、実力次第でいくらでもビジネスチャンスをつかむことができます。
 

そんな社会ですから、香港の女性たちは伸び伸びと自分のやりたいことにチャレンジし、また出産や育児に縛られず、自らの人生を謳歌しているようにも見えます。その一方で、自分のもしくは夫婦のライフプランをしっかり立て、投資や年金で老後の蓄えを効率よく運用する方法も知っている賢い女性たちです。